世界にはいろいろな塩資源がありますが、
資源別に塩の製法を分けると下記のように分類されます。
1.海水
(天日製塩法・イオン交換膜法・その他)
2.岩塩
(乾式採鉱法・溶解採鉱法)
3.塩湖
4.地下かん水
雨が少なく乾燥した地域では、海水を塩田に引き込み、太陽熱と風で水分を蒸発させ塩の結晶を得る天日製塩の方法がとられています。
日本では、多雨多湿の気候から天日製塩は難しく、古来から海水を一旦濃縮してから、それを煮詰めるという2段階方式で塩を作ってきました。
この海水を濃縮する方法(採かん法)が、塩浜(揚浜式、入浜式、流下式塩田)やイオン交換膜法です。
大昔、海の一部が大陸の移動や地殻変動で陸地に閉じ込められ海水の湖となったものが干上がって塩分が結晶化し、その上に土砂が堆積してできたと考えられています。形成時期は5億年から200万年前といわれ、世界にある岩塩の推定埋蔵量は、現在知られているだけでも数千億トンにもなり、岩塩由来の地下かん水も含めると、世界の塩の生産量の約3分の2が岩塩からつくられています。しかし、この岩塩は日本国内には存在しません。
岩塩の採鉱法には「乾式採鉱法」と「溶解採鉱法」の2通りあります。
岩塩は重金属などの異物を含んでいることがあり食用にはそのまま供されることは少なく、一旦水に溶かして異物を取り除き再び結晶化させる方法がとられています。
地下水が岩塩層を溶かし、濃い塩水になったものがほとんどで、一部は地表から噴出しているのものあり、塩泉と呼ばれています。
地下かん水は岩塩層の近くにあるので、岩塩を産出する地域に見ることができます。
大昔、海だったところが地殻の変動で陸に封じこめられ、水分が蒸発して濃度が濃くなったのが塩湖(濃い塩水の湖)です。
乾燥した地域に多く、天日製塩と同じ方法で塩が作られますが、季節によって自然に塩が結晶化する塩湖もあります。
日本は岩塩などの塩資源に恵まれていないので海水から塩を造ってきました。
四方を海に囲まれているので簡単に思えますが、海水の塩分濃度はたった3%しかなく、しかも日本は多雨多湿なので、海水は単に天日製塩法では結晶化せず、煮詰める必要があり実際の塩づくりはとても手間のかかることとなります。
広い土地を持ち、海水を陸に引き込んで1年2年そのままにしておけば塩の結晶が採れる諸外国とは異なり、日本ではたった30gの塩をつくるのにも、1リットル近い水分を蒸発させなくてはなりません。そのため、海水をそのまま煮詰めるのではなく、濃縮してから煮詰めるという効率のよい方法で塩づくりが行われてきました。
この、海水を濃縮することを採かんといい、それにより採れた濃い塩水をかん水(ブライン)といいます。
そして、かん水を煮詰めることをせんごうといいます。
この、採かんとせんごうという2工程からなる日本独自の製塩方法は、技術的にはより効率のよいものになりましたが、原理は大昔から変わりありません。
地域によって違いが見られ、一概にこの通りとはいえませんが、大体下記のような流れとなります。また、現在では、下記以外の方法でも塩づくりが行われています。
(方法)
藻塩焼き…古代
揚浜式塩田…鎌倉時代末期
入浜式塩田…江戸時代
流下式塩田…昭和28年ごろ
イオン交換膜法…昭和47年4月以降~現在
(方法)
土器…古代
塩釜(あじろ釜・土釜・石釜)…鎌倉時代末期・江戸時代
平釜(鉄釜)…明治・大正時代
蒸気利用式…昭和はじめ~昭和30年代
蒸発缶(加圧式・真空式)…昭和2年以降~現在
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